[kouryukan 589] 所並東にて    2000/12/11   杉山要
2000/12/11 17:37
Subject: [kouryukan 589] 所並東にて

43年生 梓山 元両区 カラマツ林のひなた

たかにいの植えた山で、二郎さん、たかにい、と切捨て間伐の合間の一服で話しをした。二郎さんは、木の成長ぶりや根付きの良さに感想を述べ、たかにいはカラマツ人工林そのものの生態等について述べた。曰く「自然においた(=生えた)木はデカくなるが、植えた木を長くおこうと思ってもダメだだ」。私は植えた頃のシステム等について問い、「ここの木は川上の苗ですか?」と尋ねると、間髪いれず二郎さんが、「そう」と答えた。
このとき、私はどうにもならないほどの幸せに包まれてしまった。
自分は森の中にいる。しかも、その木を植え育んでいる人といっしょに。そして、当時のことを、昨日のことように知る証人もいっしょに。
 この木は、この村で採種されたものが、この土地の畑で育てられ、ここの人々に見守られ、やがて森は大きくなり、いつか伐採される時まで何十年もこの山が崩れることを防ぐ。
すべてが、この村の中で繰り返される。
こんなところに、この人達と一緒に居られることが、限られた者にのみ許される、とてつもなく贅沢な時間のような気がした。